七五三・お宮参りの基礎知識

Knowledge

七五三の衣裳・着物の選び方

七五三の衣裳・着物の選び方

七五三は日本全国で行われる行事です。近年、地域によってお祝いする年齢が異なるケースが見受けられ、とくに男の子は、西日本では3歳と5歳で2回、東日本では5歳に1回だけお祝いする傾向が強いようです。七五三の日を迎える前に、お子さんの晴れの日を華やかに彩る衣裳選びについて、気になる点をチェックしておきましょう。

女の子の衣裳

女の子の七五三は3歳と7歳でするのが一般的ですが、兄弟や姉妹、お友達と一緒にお祝いするというご家庭も多く、女の子が5歳で七五三をしてはいけないということはありません。

3歳の女の子の衣装と選び方

「三つ身」というタイプの着物を着て、帯はやわらかな兵児帯(へこおび)を締め、さらに被布(ひふ)と呼ばれる、袖のないベスト状の上着を羽織るのが一般的です。
ひもや帯など、締め付けの強いものを使用しないため、身体への負担が少ないうえ、着付けもしやすく、着崩れしにくいのもうれしい点です。
衣裳のデザインや柄は、ご両親や祖父母など、ご家族が選ぶ傾向にあります。和装は赤などはっきりとした色合いで、かわいらしさのある古典的な柄、洋装も明るい色のものが人気です。生地はできるだけ軽いものを選びます。重い生地は、小さなお子さんへの負担が大きく、なかには着付けを嫌がって、泣いてしまうことも。そういう場合は無理に和装を選ばず、負担が少なく着脱も楽な洋装にするのがよいでしょう。

7歳の女の子の衣裳と選び方

3歳のときとは異なる「四つ身」というタイプの着物を着ます。「着物の帯をつけ始める」という意味があり、大人の着物と同じ小物や着付けをする、子どもサイズの着物です。着付けの際には襦袢や半襟、帯、帯揚げ、帯締めなどが必要で、また扇子や筥迫(はこせこ)といった小物も増えます。しっかり着付けないと着崩れしてしまうので、プロに依頼するのがおすすめです。
衣裳を選ぶ際、お子さん自身少し背伸びをしたい年頃なので、好みが分かれます。赤やピンクなどの可愛い着物も人気がありますが、青や紫、緑といった大人っぽさ、落ち着きのある色合い、レトロモダンな柄の着物を選ぶ方も少なくありません。また長く着ていられるお子さんは、前撮りだけでなく参拝時にも振り袖を着ることが多いです。

ワンピースなどの洋装もOK

和装が一般的ですが、ワンピースなどの洋装で七五三のお祝いをするご家庭もあります。洋装の場合は、神様の前でご祈祷を受けるということを忘れず、普段着ではなくフォーマルなワンピースやスーツを選びましょう。
またスタジオ撮影では、和装の前撮りの際にドレス撮影もする方も多いようです。女の子が憧れるお姫さまのようなドレスも人気があります。天候やお子さんの成長や様子などを見て、洋装、和装どちらにするか判断するとよいでしょう。

男の子の衣裳

男の子の七五三といえば、5歳だけお祝いするイメージが強いですが、実際には、七五三をお祝いする年齢は、地域によって異なります。男の子も3歳と5歳で2回するところや3回祝う地域もあるようです。衣裳は「被布」「羽織袴」「スーツ」のいずれかを着るのが一般的ですが、とくに決まりはありません。

被布は3歳のお祝いにおすすめ

被布はベストのような形をした上着で、3歳の女の子が七五三で羽織っているものです。被布の下には着物を着ますが、帯を締めないため小さなお子さんでも締め付けを感じずに快適に着られます。最近は見た目のかわいらしさや快適さから、男の子も3歳の七五三で被布を選ぶケースが増えてきました。あどけない愛らしさが引き立つ、おすすめのスタイルです。

羽織袴は5歳におすすめ

男の子の七五三衣裳といえば、凛々しくかっこいい「羽織袴」です。5歳で着用しますが、3歳のお祝いでも着られます。着物(中着)・羽織・袴の3点セットで、懐剣やお守り、扇子といたった特別な小物を持ちます。
着物の柄は、兜や鷹、虎、軍配、龍など勇ましくて縁起の良いデザインが主流。色は定番の黒や紺、青をはじめ、最近は白や黄緑、赤、茶色、水色なども人気です。

動きやすく疲れないスーツ

最近はスーツでおしゃれに決めて、神社でお参りする男の子も多くいます。スーツは小さなお子さまでも比較的動きやすく、疲れにくいのがメリット。着用後のお手入れも着物と比べると簡単なものが多く、お参り後に食事会をする際も汚すことを心配して着替える必要がありません。
またスーツは、1枚あれば七五三以外にも卒園・入学式や結婚式などにも使えます。着物姿は記念写真に残し、お参りは動きやすいスーツを選ぶというのもひとつの選択肢です。

両親の服装

ご家族の服装は基本的に自由ですが、主役であるお子さんを引き立てる上品な服装を選ぶことが大切です。お子さんが洋装の場合、それより格上の和装は控えます。
ママや祖母は、和装であれば訪問着・色無地、洋装の場合はワンピースにジャケットやセットアップのスーツでフォーマルな装いを。パパや祖父はスーツが一般的で、夫婦で格を合わせることを意識します。ほかの参加者も同様に、親族全体でバランスの取れた服装を心がけましょう。

購入とレンタルの違い

近年はレンタルを利用される方がとても増えています。実店舗だけでなく手軽なネットレンタルも人気を集めていますが、レンタルする場合と購入する場合の、メリットとデメリットを比べてみましょう。

レンタルする場合のメリット

① 購入するよりも費用が安く抑えられます。店舗とネットレンタルではネットの方がより安く借りられる場合が多いようです。

② 着物を自宅で保管する場合はスペースを用意し、さらに虫干しなど定期的なお手入れが必要。レンタルならそんな手間がかかりません。

③新作の着物を多数扱っている貸衣裳店を選ぶと、トレンドの着物を手軽に試すことができます。

④ 着物は帯だけでなく、襦袢などの小物や草履やバッグなども一式セットで借りられます。さらにヘアメイクまでセットになっているところもあり、とてもお得です。

レンタルする場合のデメリット

① お参り直前にお子さんが急に体調を崩したり、悪天候だったりしても、急な日程変更は難しく、キャンセル料が発生する場合もあります。

② 修復が必要な汚れや破れなどがあった場合は、別途料金を請求されることがあります。

③着物と帯、付属品はすべてセットになっていて、好きな組み合わせに変更できないショップが多いようです。

着物レンタルをするときの注意点

まず、お参りは10・11月の吉日に集中します。人気の衣裳ほど先に予約が入ってしまうので、お気に入りの着物を確実に着るためには早めの予約が必須です。夏前に予約をする方も珍しくはありません。実店舗を持っているお店では店頭で試着し、ネットショップでも試着レンタルを実施しているところもあるので、サイズの確認をしておくとよいでしょう。
着物が決まったら、帯や襦袢、帯締めなどの小物類のセットを確認します。足袋はセットに含まれていない場合など、お店によってセット内容に差があるので、事前にきちんと確認しておきましょう。同様にヘアメイクや着付けの確認も忘れずに。

着物のレンタル期間について

ネットレンタルの場合、利用日の2日前に届き、利用日の翌日に返却発送する3泊4日が主流です。2日前に届くのは、到着した着物に不具合があった場合に交換する日数を考慮してのこと。商品到着後のサイズ変更やキャンセルは、できないところがほとんどです。また、衣裳の予約が空いていれば、レンタル延長に対応してもらえるところも。ただ、注文時に申請した場合のみ受付可能だったり、別途延長料金がかかったりします。申請なしで返却が遅れた場合は、もっと高額な延滞料金が発生するケースもあるので注意が必要です。

返却の日程と方法、送料について

店舗では当日返却、ネットでは翌日の返却発送が一般的です。簡単に畳んで店舗に持ち込むか専用の袋に入れての宅配発送となります。往復送料無料のお店が多いですが、こちらもしっかりと確認しましょう。
もし、お料理をこぼしたり、泥はねしたりした場合、軽度の汚れは店側が無料で対処してくれる場合が多いです。ただ、店側が外部に修復を依頼するほどの大きな汚れは、別途お手入れ代が請求されることも。そのような事態を避けるために、1,000円~2,000円程度の安心サポート保険を導入しているお店もあります。
その他にも「メンテナンスは行き届いているか」「家紋の個別対応は可能か」「割引プランはあるか」なども気になりますね。お気に入りの着物を万全の状態で借りられるように、心配な点についてはすべて事前に確認しておきましょう。

購入した場合のメリット

七五三の後も自分のものとして所有できるので、別の行事で着回したり下の子や親戚に貸したりできます。まだ誰も着ていない新品が着られるという点もうれしいポイントです。

購入した場合のデメリット

レンタルよりも費用がかかる点です。また、着用後のお手入れや保管場所の確保にも手間がかかります。特に着物はデリケートなため、美しい状態を保つには正しいメンテナンス、保管の方法を実践しなければなりません。

まとめ

和装は、前撮りやお詣りのときだけレンタルをするご家庭もあります。レンタル衣裳を汚してしまう心配がある場合は、スタジオで和装の前撮りをし、お詣りの当日は自宅にあるフォーマルなスーツやワンピースを選ぶと安心です。