七五三・お宮参りの基礎知識

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お宮参りのマナーと当日の流れ

お宮参りのマナーと当日の流れ

お宮参りは、産後初めて赤ちゃんと一緒に本格的な外出をしてお祝いする行事です。古くから伝わる日本の伝統行事ですが、具体的には知らないという方も少ないと思います。ここでは、お宮参りの意味と手配の方法、当日の流れやマナーをご紹介します。

お宮参りとは

お宮参りとは、産土参り(うぶすなまいり)・初宮参り(はつみやまいり)などとも呼ばれ、生まれた子どもをその土地を守る氏神様(産土神 うぶすながみ)に紹介し、新しい氏子としてご加護を受けるために受け継がれてきた伝統行事です。産土神のご加護を受けると生涯を通してお守りいただけると言われていますので、赤ちゃんの末長い幸せを祈願する大切な儀式です。一般的には、両親をはじめ祖父母が一緒に参拝し、無事に生まれたことを感謝し、大切な赤ちゃんがこれからも健やかに育つようにとお祈りを捧げます。

お宮参りに行くタイミング

お宮参りのしきたりでは、男の子なら生後31日~32日目、女の子なら生後32日~33日目に参拝するとされています。しかし、必ずしきたり通りの日程で行わないといけないわけではなく、母子ともに体調が安定する時期に調整するのがよいでしょう。お子さんの1ヵ月健診が終わり、外出し始める頃が目安です。まずは、お宮参りの日程を決めましょう。親族を呼ぶ場合は、両家の祖父母に声を掛け日程の相談を。

地域の風習によっても変わる

また、地域の風習や気候によって時期が前後するケースもあります。「お七夜」や「百日祝い」など別の行事と合わせて行う地域もあるため、生後3ヵ月後くらいまでなら日程をずらしても問題ないといえます。ただし、生後1年など後回しにし過ぎると、赤ちゃんの初誕生と被ってしまうため、遅くとも生後半年以内にはお宮参りに行くのがおすすめです。

真夏・真冬のお宮参りは避ける

赤ちゃんが真夏・真冬に生まれた場合、お宮参りの時期には注意が必要です。生まれたばかりの赤ちゃんは体温調節機能が未発達のため、厳しい気候の中、外出するのは体調を崩してしまう恐れも。また、赤ちゃんだけではなく、産後のママにとっても真夏・真冬の外出はかなり体に負担がかかります。気候が穏やかな頃を見計らって、お宮参りの時期を決めましょう。

六曜(ろくよう)で決める

お宮参りの日程を「六曜(ろくよう)」で決めるという方も少なくないと思います。六曜とは、「その日の吉凶を占う指標」です。この考え方は中国で生まれたといわれています。六曜にとらわれ過ぎる必要はありませんが、可能であれば縁起のよい日を意識するとよいでしょう。次に、お宮参りと六曜の関係性について解説します。

お宮参りは大安・先勝・友引がおすすめ

お宮参りは祝いごとのため、縁起のよい日に行くのがおすすめです。六曜では大安・先勝・友引が当てはまります。一方、仏滅・先負・赤口はお祝いごとに向かないとされている日です。しかし、最近では六曜にこだわらずお宮参りに行くご家族も増えています。

大安(たいあん)

1日を通して吉とされる日です。六曜の中では、最もお宮参りに適しています。ただし、多くの参拝者が集まるので神社が混み合います。

先勝(せんしょう)

午前は吉・午後は凶とされる日です。早く行動することで運気が舞い込むため、午前中に参拝するなら先勝の日もよいでしょう。

友引(ともびき)

朝と夕方は吉・昼は凶とされる日です。友人を引き込む日であり、お祝いごとに向いています。ただし、夕方は神社が開いていなかったり、赤ちゃんが疲れてきたりするので、午前中の参拝がおすすめです。

仏滅(ぶつめつ)

1日を通して凶とされる日です。お宮参りも含め、お祝いごとは避けられやすい日といえます。

先負(せんぶ)

午前は凶・午後は吉とされる日です。午後からお宮参りに行くなら、先負の日を選んでもよいでしょう。

赤口(しゃっこう)

午前11時~午後1時は吉・それ以外は大凶とされる日です。仏滅より縁起が悪いといわれていますが、正午付近だけ吉となります。

参拝する神社を決める


日にちが決まったら、次にどこの神社・お寺に参拝するか決めます。お宮参りでは、赤ちゃんが生まれた土地に宿る神様「産土神(うぶすながみ)」に参拝するのが一般的です。しかし最近は有名な神社に行くご家族も増えてきています。遠くの神社に行く際は、事前に天気予報やご祈祷の予約の有無、駐車場の場所などを確認しておきましょう。小さな赤ちゃんが主役だということを忘れず、赤ちゃんの負担にならない工夫が必要です。また、授乳室やおむつ替えコーナーがあるなど、赤ちゃんとママの快適さも重要です。ご祈祷を受ける場合は、早めに予約しましょう。

準備しておくと安心な持ち物

当日が慌ただしくならないよう、早めに持ち物の準備をしておきましょう。赤ちゃんに必要な物を紙に書き出し、持ち物リストを作っておくと便利です。

赤ちゃんの持ち物リスト

生後1ヵ月頃の赤ちゃんと一緒に外出するお宮参りは、おむつセットやミルクセットの準備が欠かせません。また、汗をかいたり汚したりしたときのために、着替えやよだれかけの替えも持っていきましょう。

□おむつセット(おむつ、おしり拭き、ビニール袋)
□ミルクセット(粉ミルクの場合は粉ミルク、哺乳瓶、熱湯用と白湯用の魔法瓶2本。母乳の場合は授乳ケープ、母乳パッド)
□赤ちゃんの着替え
□よだれかけの替え
□おくるみ
□タオルやガーゼ
□おもちゃ
□ベビーカー
□抱っこ紐 など

【暑いとき】
□日傘
□扇子
□日焼け止め(赤ちゃんも使える製品を用意する)
□冷房、日焼け対策のカーディガン

【寒いとき】
□ブランケット
□上着、赤ちゃん用ポンチョ
□赤ちゃんの帽子、靴下

お宮参り当日の流れ

神社に到着したら、まず鳥居をくぐって境内に入り手水舎で身を浄めます。参拝だけをする場合は神前に進み、お賽銭を入れて鈴を鳴らし、二拝二拍手一拝の作法で拝礼します。ご祈祷をしていただく場合は社務所で受付をし、初穂料を納め、開始時間まで待合室へ。ご祈祷は30分間隔で終日行っているところが多く、お祓いと祝詞の目安は20分程度です。また、お宮参りの前後には家族で記念撮影したり、参加者が集まって食事会をしたりするケースも。地域や家族によって細かいしきたりは異なるため、事前によく確認することが大事です。

手水舎での手順

①右手で柄杓(ひしゃく)を持って左手を清める
②左手に柄杓を持ち替え、右手を清める
③再び右手で柄杓を持ち、左手の平で水を受け、口をすすぐ
④柄杓を縦に持って柄を水で洗い流し、伏せて置く

参拝の作法

①最初に神前で2回深いお辞儀をし、胸の高さで2回拍手します
②次に、感謝の気持ちを込めながらお願い事やお祈りをしましょう
③最後にもう一度お辞儀をします

参拝のマナー

初めてのお宮参りは、慣れない作法や風習に不安を感じるでしょう。基本的なマナーを理解しておけば、落ち着いてお参りができます。

初穂料を用意

ご祈祷を受ける際は、神社に謝礼を納めるのがマナーです。これを「初穂料」と呼びます。相場は5,000円~1万円程度。新札またはできるだけきれいなお札を用意し、紅白で蝶結びの水引が付いたのし袋に入れ、表書きには「御初穂料」と赤ちゃんの名前を記載します。神社によっては、のし袋にいれずに直接受付で支払うよう指示されたり、金額が決まっていたりするので、WEBサイトや電話で事前に確認をしましょう。

参拝の作法を確認

参拝の作法は神社とお寺で異なるため、注意が必要です。神社では「二礼二拍手一礼」で参拝します。一方お寺では、合掌しながら一礼し、お願いごとをするのが一般的です。宗派によって異なる場合もあるため、事前に確認しましょう。

赤ちゃんを抱っこする人

古くからの慣わしでは、お宮参りは赤ちゃんの両親と、父方の祖父母で行うものとされていました。昔はお産が穢れ(けがれ)と考えられていたため、お宮参りで赤ちゃんを抱くのは父方の祖母が正式とされていて、地域によっては母親が参加しないところも。とはいえ、現在は両家の両親を呼んで参拝されるご家庭も多く、日程の調整が難しい場合は両親だけで行うのも問題ありません。ただし、祖父母がしきたりを気にする場合もあるため、赤ちゃんを抱っこする人を事前に相談しておくのがおすすめです。とはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんでも小1時間もずっと抱っこしていれば腕が痛くなります。母方の祖父母やパパなどが交代し、みんなで無理なくお宮参りを楽しみましょう。

お宮参りの服装

お宮参りの服装に厳格なルールはないため、無理に正装をさせたりベビードレスを着せたりする必要はありません。赤ちゃんの体調や機嫌を考慮して、普段着でお参りしても問題ありませんが、お宮参りでは記念撮影をすることが多いため、フォーマルを意識した服装がおすすめです。

ご家族の服装

ご家族は赤ちゃんの服装に合わせるのが一般的です。例えば、赤ちゃんに正装させる場合、ママと祖母は着物訪問着や色無地、付け下げを着ます。ベビードレスで参拝する場合は、セレモニースーツやフォーマル感のあるワンピース、セットアップなどを選びましょう。男性の参加者はスーツを。赤ちゃんが正装の場合は、礼服(ブラックのフォーマルスーツ)を選び、ベビードレスの場合はダークカラーのスーツを着用して格を合わせましょう。

赤ちゃんの記念撮影


セルフ撮影は手軽ですが、カメラに慣れていない方が赤ちゃんのベストショットを狙うのは難しいものです。また、参加者の誰かがカメラマンになる必要があり、全員で写真に収まることができません。特別な記念日の撮影は、プロのカメラマンに依頼するのもおすすめ。フォトスタジオや出張カメラマンには赤ちゃんの撮影に慣れたスタッフが在籍することが多いため、安心して任せられます。

お宮参り後の食事

お宮参りの後は、一緒に参拝した祖父母と、祝い膳を囲むご家庭も多いようです。お店によってはお宮参りプランを設定しているところもあり、ちょっと特別なお食事で、晴れの日を盛大にお祝いできます。場所は疲れた赤ちゃんを寝かせられる畳敷きの個室がベスト。和装のママがお着替えできるような、別室を借りられればなお良いでしょう。ママが食事の準備から片付けまでしなくていいメリットもあります。1番リラックスできる自宅でも仕出し料理やお寿司の宅配などの便利なサービスを利用して、負担のないようにお祝いしましょう。

まとめ

赤ちゃんの正式な服装は和装です。しかし最近は、ベビードレスを着せるご家族も増えています。お宮参りは伝統的な儀式ですが、しきたりにとらわれ過ぎる必要はありません。基本的なマナーを押さえつつ、柔軟にお祝いしましょう。