七五三・お宮参りの基礎知識

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お宮参りの衣裳・着物の選び方

お宮参りの衣裳・着物の選び方

お宮参りは赤ちゃんが無事に生まれたことへの感謝と、健康な成長を願い、神社で参拝する大切な行事です。伝統的な儀式のため、ドレスコードには気を付けたいところ。お宮参りの服装に正式なルールはありませんが、基本的なマナーを押さえておきましょう。

お宮参りでの赤ちゃんの正装

昔から伝わる赤ちゃんの正装は、「白羽二重(しろはぶたえ)」と呼ばれる内着の上に、祝着(のしめ)を羽織るスタイルです。

男の子の祝着(のしめ)

「強くたくましく育ってほしい」という想いが込められた、龍・虎・兜など、勇壮さが感じられる柄は、お宮参りにピッタリ。また、富士山や宝船など、縁起物をモチーフにした柄も人気です。着物の色は、黒色・濃紺色・深緑色など、風格を感じさせる濃い色が定番で、最近は、白色やベージュ色といった優しい色も人気を集めています。

女の子の祝着(のしめ)

蝶・手毬・鈴など、「美しく、健康に育ってほしい」という想いが込められた柄が、上品で可愛らしく人気です。ほかにも桜やウサギ、御所車といった柄もよく見られます。
赤色・ピンク色・薄い黄色など、明るく華やかな色が多く選ばれ、白色・水色・黄緑色など爽やかな色もあるので、併せてチェックしてみましょう。

ブランドの祝着(のしめ)も人気

古典的なデザイン・色に加えて、最近はブランドの祝着(のしめ)も人気を集めています。有名な着物メーカーやファッションデザイナーが手掛けた祝着(のしめ)は、トレンドを押さえたデザインのものが豊富です。高額なものもありますが、レンタルもできるので、候補のひとつとしてチェックしてみましょう。

ベビードレスに祝着(のしめ)も人気

最近は、白羽二重(しろはぶたえ)の代わりにベビードレスを着せて、その上に祝着(のしめ)を掛けるスタイル、またはベビードレスのみでお宮参りをするご家族が増えてきました。もともとキリスト教の洗礼式で使用していたベビードレス。女の子だけでなく、男の子にも合うデザインもあり、日本ではお宮参りや産院から退院する日に着せるようになりました。祝着(のしめ)を購入するよりも価格が安く、お手入れが簡単。赤ちゃんの着心地が快適で、華やかな見た目が写真映えするなど、さまざまなメリットがあります。

お宮参りが夏・冬の場合の服装は?

生後1カ月頃の赤ちゃんは、自分でうまく体温調節できないため、気温の変化に対応できる服装が大事です。

夏の服装

和装の場合は、肌着や内着の素材を工夫して暑さ対策をします。吸水性・吸湿性に優れた肌着、通気性のよい内着を着せましょう。洋装の場合は、汗取り用の短肌着を着せ、春夏用のベビードレスを選びます。また、薄手のおくるみは冷房対策に重宝します。

冬の服装

和装・洋装ともに、寒さに応じて肌着を重ね、帽子や靴下で防寒しましょう。おくるみやブランケットを用意し、赤ちゃんの体温を調整します。

小物

よだれや吐き戻しなどの汚れを防ぐスタイを付けます。地域の慣習によっては、デンデン太鼓・扇子・犬張子(いぬはりこ)・帯銭(おびせん)といった小物を用意するところもあるようです。お住まいの地域にどのような慣習があるのかは、事前によく確認しておきましょう。

ご家族の服装

お宮参りの参列者は、主役の赤ちゃんの衣装をベースに考えながら、赤ちゃんと格を揃えるか格下になる服装を選びます。一般的には、洋装よりも和装のほうが格上と考えられているため、赤ちゃんがベビードレスなのにご家族が和装にすると、赤ちゃんより格上になってしまいます。赤ちゃんが洋装なら、洋装で揃えるのが理想です。祖父母が参加する場合は、事前に赤ちゃんやママ・パパの服装を伝えておくのが得策です。ご家族全体でバランスのとれたコーディネートを意識しましょう。

ママの服装

洋装・和装問わず、主役の赤ちゃんを引き立てる上品で控えめなデザインを選びます。洋装の場合は、セレモニースーツやワンピースなどでフォーマルに仕上げます。黒や濃紺、グレー、ベージュなど落ち着いた色が最適です。和装にする場合は一般的に、訪問着や色無地、付け下げを選び、華やかになりすぎないよう意識します。
また、産後間もないママの体調を考慮して、なるべく負担が少ない服装を選ぶことも大切。最近は、授乳もしやすいという利便性を重視して、洋装を選ぶママが増えています。また、赤ちゃんを安全に抱っこできるよう、安定感のあるフラットシューズやローヒールなど履物にも注意が必要です。

ママのヘアスタイル

和装の場合は、シニヨンヘアや夜会巻きなどのアップスタイルが基本です。顔周りや首元の髪はまとめて、清潔感のあるアレンジをしましょう。アップスタイルにできない長さの髪は、編み込みやハーフアップをするだけでも、きちんと感が演出できます。
洋装の場合もすっきりまとめるのが基本ですが、ふんわりとエアリーなアレンジもおすすめです。和装・洋装ともに、明る過ぎる髪色や派手な髪飾りは避けましょう。

パパの服装

男性は、赤ちゃんが和装の場合もスーツを着用します。ママや祖母が着物を着ていても、無理に合わせる必要はありません。ブラックスーツやフォーマルスーツなど、お祝い行事向けの洋装が主流です。スーツの色は女性と同じく、黒、濃紺、グレーといった落ち着いた色を選びます。シャツは白が基本ですが、派手でなければ薄い青やグレーなどでも問題ありません。ストライプやチェックはカジュアルに見えてしまうため、無地のシャツがおすすめです。ネクタイは、結婚式で締めるような白やシルバーが定番ですが、最近は青やピンクなどのパステルカラーも人気があります。少し柄が入っていても構いませんが、目立ちすぎるデザインは避けたほうが無難です。また、赤ちゃんやママに合わせて和装をする場合は、格が高くなりすぎる第一礼装の黒紋付羽織袴は避けるのがマナーです。一つ紋か三つ紋が入った羽織袴、または着物と羽織を着用します。

上のお子さんの服装

お宮参りではご家族で記念撮影をするため、上のお子さんもフォーマルな服装を心がけましょう。男の子なら、スーツにネクタイを締めてカッコよく決めるのもよいですし、シャツとベストに蝶ネクタイを合わせてもおしゃれです。女の子は、清楚なワンピースや上品なドレスを。赤ちゃんの衣装と同系色のアイテムを選んで、兄弟姉妹で統一感を出すのもおすすめです。ただし、主役の赤ちゃんよりも目立つ服装は避け、落ち着いたトータルコーディネートにしましょう。

肌の露出はNG

神様に感謝を伝えたり祈りを捧げたりするため、失礼にあたらないよう、ジーンズやスウェット、スニーカーやサンダルなど、カジュアルすぎる服装は避けましょう。また、ミニスカートやノースリーブ、ハーフパンツといった露出が多い服装は適しません。女性がスカートを着用する場合は、膝丈よりも長いものを選び、ストッキングやタイツを履きます。男性は夏の暑い時期であってもハーフパンツは避けて、スラックスなど丈の長いパンツを着用するのがマナーです。

赤ちゃんの着物は誰が準備する?


赤ちゃんの着物(祝い着)は、ママ側の実家が準備をするのが一般的とされています。
しかし、慣習自体が薄れてきているので、あまりこだわる必要はないかもしれません。
また、地域の慣習によっても違いがあり、男の子が生まれたらパパ側、女の子が生まれたらママ側が準備するといったケースもあるようです。気をつけなければならないのは、両家で気まずい雰囲気になること。事前に話し合い、着物をどちらが準備するか決めるようにしましょう。

祝い着を購入する場合の相場

赤ちゃんが着るお宮参り用の着物(祝い着)は、インターネットで購入しても1万円~20万円、実店舗でも2万円~30万円と、値段に幅があります。着物の相場は3万円~5万円ほどといわれていますが、金糸を使ったり、華やかな刺繍が施されていたりすれば10万円近くになり、生地に正絹を使っていたりすれば、大人の着物1枚と変わらない場合も。中古やアウトレットで探せば、手頃な値段の着物を見つけられるかもしれませんが、たとえ古着でも質の良い着物は高価になります。

祝い着をレンタルする場合の相場

最近では着物を着る機会が減ってきているので、赤ちゃんの祝い着をレンタルするケースも増えています。貸衣装店やフォトスタジオなどの実店舗でレンタルするときの相場は、5,000円~5万円ほどです。インターネットでレンタルする場合も、相場は3,000円~5万円ほどと、料金に幅はありますが手頃な値段で準備できます。汚れ防止のよだれかけ、帽子、守り袋などの小物は別料金になる場合があるので、事前の確認が必要です。

まとめ

お宮参りは、赤ちゃんが生まれて初めて臨む行事なので、衣装にも力を入れたいところ。
着物には洋服にはない上品な雰囲気があり、着慣れていないと大変ですが、より思い出に残るお宮参りになるでしょう。